2007年度 システム情報科学特別演習(イントロダクトリセミナー)関連技術調査レポート

人間動作のモーションキャプチャ技術


モーションキャプチャ技術とは

モーションキャプチャ(motion capture)は、現実の人物や物体の動きをデジタル的に記録する技術である。
記録された情報は、スポーツ及びスポーツ医療の分野における選手たちの身体の動きのデータ収集などに利用されたり、
映画などのコンピュータアニメーションおよびゲームなどにおけるキャラクターの人間らしい動きの再現に利用される。
本レポートではカメラ撮影された人間の動きを対象にし、コンピュータに取り込み動画を解析する場合の
モーションキャプチャー技術について、簡単な解説を行う。

モーションキャプチャーの構成

モーションキャプチャーの手順

  1. まず、計測したいものの「動く空間」を決め、範囲を決定する。
    人間の歩行を計測したい場合や、立ち上がりやジャンプ等その場での動きを計測したい場合などで計測範囲は違ってくる。
    計測したい動きが全て収まる範囲を決定する。

  2. 決めた範囲の四隅にキャリブレーションポールを立てる。
    範囲を決めたら、その範囲を囲むようにキャリブレーションポールを垂直に設置する。
    例えば左右方向に3m、前後方向に2m、高さ方向に2mの範囲を決めた場合、通常は床に2m×3mの4角形を
    設定し4隅に印を付け、4隅の印の上にキャリブレーションポール2mを立てる。

  3. キャリブレーションが全て写る場所にカメラを設置する。
    2台以上のカメラからキャリブレーションが全て写るように設置する。
    キャリブレーションに付いているマーカーが重なって見えなくなっていないか、床から高さ2mのポールが全て
    見えているかなど確認する。写らない場合はカメラの位置を移動させたり、カメラのレンズを交換したりして対応する必要がある。
    また、実際の動きを撮影するときの事も想定し、計測したいマーカーが2台のカメラから見えなくならないように
    カメラの角度も調整する。多くの場合2台のカメラを40度くらいの角度で設置する。あまり角度が狭くなると精度が悪くなり、
    角度を広くしすぎると計測マーカーが隠れて見えなくなる場合が増える。

  4. キャリブレーションを撮影する。
    カメラと、パソコンにセットした画像入力ツールが接続されている状態で画像をパソコンに取り込む。
    2台以上のカメラからの映像を同時に取り込んで下さい。この後、絶対にカメラの位置を動かしたり、レンズのズーム倍率変更をしてはならない。

  5. 3次元計測ソフトで、キャリブレーションの精度を確認する
    撮影されたキャリブレーション画像を使用して、3次元計測ソフトでキャリブレーションを行う。
    通常キャリブレーションの精度が確認できるので、必要な精度が得られない場合は、
    再度キャリブレーションポールの位置や撮影状態を確認する。

  6. 実際に計測したい動作を撮影すると同時にパソコンに画像を取り込む。
    キャリブレーションの設定が全て終了したら、実際に計測したい動作の撮影を行う。
    画像入力ツールを使い、撮影すると同時にパソコンに動作の映像を取り込む。カメラを動かさない状態で、
    同じ範囲での動作は何度でも取り込んでおいて、後から解析する事が可能である。

  7. パソコンに取り込んだ画像を、3次元計測ソフトで解析する。
    取り込まれた画像から、マーカーの動きを自動追跡し3次元位置座表を計測する。
    マーカーが隠れる場合の隠れ点処理の設定や、隠れるマーカーを手動で計測する設定などがソフトには用意されている。

  8. 計測結果を出力する。
    解析ソフト(結果表示ソフト)で計測結果をビジュアルに表示します。
    人間の動きをアニメーション表示したり計測ポイントの座標値、速度、加速度、距離、など様々な計測データを数値やグラフで表示する。

モーションキャプチャー技術の分野別応用事例

モーションキャプチャー用語集キャリブレーションツール


参考サイト:モーションキャプチャ実践入門ガイド

調査担当: システム基礎論研究室 氏家 啓介 (提出年月日:2007年6月4日)