2007年度 システム情報科学特別演習(イントロダクトリセミナー)関連技術調査レポート

Visible Humanとは


Visible Human

米国国立衛生研究所の一機関であるNIH米国立医学図書館(U.S.National Library of Medicine)が作成した、人体の解剖構造データベースのこと。
Visible Humanには、人体をCTやMRIで撮影した画像や冷凍された男女の死体の断面画像などが収録されている。
また、この人体の解剖構造データベースを作成する元となったプロジェクトを、Visible Human Projectという。
これは同じくNIH米国立医学図書館の主催で1986年から実施されたプロジェクトで、
人体の完璧な解剖図をあらゆる角度から3次元の映像としてデータベース化しようという壮大な計画だった。

Visible Humanのデータ

Visible Humanのデータベースは、典型的な男女の死体のCATスキャン(CT)や磁気共鳴映像法(MRI)から
データを取り込んで、それをデータソースとして使用してきた。

下の画像は、Visible Humanプロジェクトで収集されたX線のCTデータである。 骨盤部分のCTデータセットの最大値を背景に射影している。

Image VisManPelvisCTlg.gif

また、下の画像はVisible HumanのMRI PD、MRI T1、MRI T2のデータである。

 

Image headmpd.gif

PD

Image headmt1.gif

T1

Image headMT2.gif

T2


男性については1mmの間隔で断面の撮影を行い、女性については3分の1mmの間隔で行った。
1990年代の半ばに完了して以来、ボリュームデータを用いることにより人体の3次元立体構築、任意断面の観察が可能となり、
医学・生物学研究者、学校・大学等教育現場や広く一般の人々にも人体の内部構造を容易に観察可能とし、人類の解剖学的知識を飛躍的に増加させた。
このデータは、非営利の利用に限り無償で入手可能であり、再配布も許される。この画像データを元に多くの研究プロジェクトが進められている。
画像の入手方法にはインターネット経由かテープをNIHか国内の販売代行業者から購入する方法がある。
X線CTとMRIのスライス厚は数mmあり、断層写真は24bit RGB row file形式である。
また、全身のデータをそろえると45GBに達する。

なおVisible Human Projectについては
http://www.nlm.nih.gov/research/visible/visible_human.html
データ仕様・入手方法・許諾条件などについては
http://www.nlm.nih.gov/research/visible/getting_data.html
を参照していただきたい。

また、Visual Human cross senctions では、人体各部のMRI,CTの画像を見ることができる。
このサイトも、Visible Human Projectのデータを元に作られている。

Visible Humanを利用したソフトウェア

Visual Humanを利用したソフトウェアの例として、以下のようなものがある。

CTとMRIについて

 Visible Humanのデータベースの作成には、CTとMRIが用いられた。
CTとMRIは、医療用ではない有害ではない試験や製造の品質管理アプリケーションと同じように、医療で幅広く使われている体積測定の精密検査の技術である。
Visual Humanの補足として、CT及びMRIについて以下で簡単に説明する。

参考
[1] The Visible Human Project Homepage
[2] Visual Human cross senctions
[3] Visible Human Dataset 日本(東京) ミラーサイト
[4] Slicer DICER
[5] 米国における最近のIT重点分野に関する調査
[6] マルチメディア・インターネット辞典
[7] フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

調査担当: システム基礎論研究室 鈴木 甫 (提出年月日:2007年6月4日)