概　要

本研究では，まず，従来からの設計対象表現に関する さまざまな手法の分析，評価を行った． その結果，総合としての設計においては， 設計対象を物理的な観点からより形式的に取り扱うことの重要性と， 製品や部品などを形式的対象表現の 基本要素とした場合に生じる問題点を指摘し， 設計対象の形式的表現に求められる規範を明らかにした．

つぎに，空間--時間の枠組みの中で設計対象を表現する 物理表現の概念を提案し，それに対する 数学的定式化として，対象記述の有限性を仮定した有限物理世界と さらに離散性を仮定した離散物理世界を示した．

導入した設計対象の物理表現の概念に基づき， 対象を決定していく設計過程について考察を行い， 離散物理世界に基づく設計過程のモデルを提示した． また， 設計者の意図や事象の間の因果を取扱い， 物理表現を補完する役割をもつ意味表現の導入を行った． こうした設計対象のモデリングの 方法は設計のみならず，製品のライフサイクル全般への 適用が可能である．

最後に，以上に述べた考えを計算機上に実現するために 設計対象モデリング・システムの構築を行った． このシステムは，設計の進度に応じた詳細度を有した対象表現と， 空間，時間，物理的性質ならびに，設計者の意図の総合的な 取扱いを可能とした．

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