北大の縄張り

北大の縄張り(03/12)


今日,大学の後期日程の入試が行われた.3月末くらいには 週刊誌などに「高校主要別大学入学者数」が発表されることだろう.

北海道大学の場合,2005年度の入試では道内出身者が46.5%で 半数弱である( http://www.hokudai.ac.jp/bureau/nyu/beam/p006.html). ただし, 高校別合格者数でみると,1位(札幌北高:149名)から 20位まで北海道の高校が並び,道外勢はようやく第21位に宮城県の仙台二高が 18名で登場する.上位30校で道外は4校に留まる.

たとえば,近年の躍進がめざましい東北大学の場合, 宮城県内出身者の占める割合は17%,東北6県合計で約45%である. 東北大学の場合,東北6県の割合が北海道大学の北海道内の割合にほぼ等しい ( http://www.bureau.tohoku.ac.jp/campus_guide/result.html ). また,高校別ではトップが仙台二高の86名と県内校であるが, 第3位の山形東高68名, 第5位の盛岡一高46名, 第6位の宇都宮高42名など, 上位30校のうち23校は県外勢であり,うち8校は東北外である.

戦前の帝国大学,いわゆる旧七帝大,は各地域の高等教育の中核となるように 大学が配置されていた.現在でもその地域の最難関校として存在し,地域の高校 での進学指導での目標となっている.このいわゆる"大学の縄張り"には実は大き な人口差がある.

    大学名    後背人口(万人)
   北海道大学    567
   東北大学     979
   東京大学    4176
   名古屋大学   1109
   京都大学    3125
   大阪大学   (上とシェア)
   九州大学    1345
これを見てもわかるとおり,北海道大学の地盤の人口は,東北大学と比べても 6割程度の数しかないのである.その上,東北大学よりも地元依存率が高いと いうことは,ますますもって狭い範囲の学生を対象とするローカル大学になって しまう.ちなみに,北海道の人口は本州でいうと千葉県や兵庫県の1県の人口と 同じレベルである.

北海道大学が他の大学と互してやっていくためには,より広範囲から 人を集めなくてはいけない.それは学生と教員の両方に言える. そしてそうした優秀な人材を地元に根付かせ,世界に向けた活動拠点 にしていくこと,それが北海道の地の殖産を目的に創設された 北海道大学の本分であろう.

こんな上段ぶったことを思うのも,きっと このところ,就職担当教員として本州からの会社の採用関係者との面談が続き, 北大で親身に教育をした学生が卒業して皆, 道外に出ていてしまうことに幾ばくかの虚しさを 覚えたせいであろう.


by Masahiko Onosato(onosato@ssi.ist.hokudai.ac.jp)