論理の展開
研究論文で一番大切なものは,
論理の展開です.研究成果というものは,
一言でいえば,
「これまで知られていなかった
事実(論理的内容)を,
これまで知られていた事実に基づいて構成してみせる」
ということにあります.これは数学証明と同じことです.
また,私は論文を書くときの心構えとして,プログラムを書くつもり
になれ,ということをよく言います.その意味は,
- 構造として階層的な構造をとる.(main-> subroutine-> subsub...)
- 前の章の結論が次の章の前提(仮定となる)(引数の受け渡し)
- はじめて出る概念,用語,記号は説明する(変数定義)
- 文章,パラグラフ,項などにやたらと内容をつめこまない
(シンプルな関数定義)
などです.みなさんもプログラムをするときには,
こうしたことがらに随分と神経を使って書いていると思います.
そうした心構えで自然言語の論文を書いてもらいたいと思います.
上っ面で言葉を並べただけのものは,単なる散文であり論文では
ありません.
それでは具体的には何を注意するべきでしょうか.いくつか
ポイントをあげます.
こうした注意は,単に論文の執筆の上だけのことではなく,
研究を進める上での思考のプロセスに大変に重要な
ことです.日頃から習慣付けることが必要です.