論文の校閲の仕方
ここでは,自分が論文を書くのではなく,先輩あるいは
後輩の書いた論文を読んで修正を指示する(校閲する)際の
注意事項を書いておきます.
論文がどうあるべきか,については前の論文の書き方の
内容を参考にしてください.ここでは,校閲者はどのように
修正をするべきか,について述べていきます.
- 修正は基本的には,「大きな内容」からはじめて,段々と
「小さな内容」へと進んでいきます.大きな誤りを訂正せずに,細かなところばかり
直してもしようがありません.
- 形式のあやまり,図表の番号のずれ,誤字脱字,参考文献の番号もれ,
等々については修正すべきことが
明確だと思います.
- 論理の飛躍,矛盾などについても,注意深く読んでいけば指摘可能でしょう.
普通に読んでいて内容がわからない場合は,読んでいる人ではなく,書いている
人が悪いのです.
- 指摘が難しいのが,文章のクセなどに関する部分です.人によって表現のスタイル
が変わってきます.そういう部分はこまめに修正していると文章
全部が書き変わってしまいますので,そこは書き手の
個性ということで目をつぶるのが適当でしょう.
- 修正場所,事項は赤鉛筆,赤ボールペンなどで,ひとめでわかるように
しましょう.論文全体で修正個所が比較的少ない場合には,
修正のあるページにPostItを貼っておいてあげると親切です.
Acrobatの校正機能を使ってコメントを入れるのもいいでしょう.
- 校閲はなるべく早く読んであげましょう.校閲が遅いと
論文執筆のスケジュールが大変になります.また,提出直前に
大きな修正を指示されても修正不能です.時間がかかるようならば,
校閲の終わった部分をこまめに返却するのがよいでしょう.
- 読んでもらう人は,校閲者任せにしないで,自分できちんと通して
目を通してから頼みましょう.校閲者も受け取った原稿が読むに耐えないレベルでしたら
執筆者に突き返しても構いません.
- 校閲者に原稿を渡すときには,
なるべく縮小しないで原寸あるいは
拡大して
渡しましょう.修正事項を書く余白が重要です.
- 校閲はただ単に悪い点を指摘するだけではなく,
「こうしたらもっと良くなる」,「こういう内容を盛り込むと
より充実する」といった建設的意見も積極的に出すようにしましょう.
他人の論文を読んで修正することで,
論文はこう書くとわかりやすいのか,とか,
論文はこう書いたらいけないのだ,
ということがよくわかります(他山の石,人の振りみてわが振り直せ).