文献の引用について


学位論文を書く上では,他人の研究成果に 言及・引用する必要がでてきます. その際にはかならず参考文献を明記するのが 学術論文の鉄則です.これは,自分の主張・意見・ 成果と他人のそれらとを明確に区別する上で不可欠です. 引用を明確にせずに,あたかも自分の研究成果のように書く ことは,盗作にあたります.

また,参考文献の数が少ない論文は,関連分野の サーベイが不十分であると見なされることもあります. ただ,自分が実際に参考にしていない文献までを 記すのもルール違反です.

参考文献を記す際に問題となるのは, 「孫引き」の問題です. それは,ある人の論文(今Aとします)の研究成果を それを引用・紹介している研究論文(Bとします)から 知識を得た場合に,どちらを引用文献とするか,という 問題です. 研究者の間では,自分の研究がどれだけ他人から 引用されたか,というのが研究者の評価に つながります.そうしたことを 考えると,引用としては原典(すなわちA)を 参考文献とすべきです.ただし,Bという別の 論文というバイアスを通して知識を得ていますので, 本当に原典の内容と同じであるかどうか,という 疑いは残ります.

ここでいえることは,なるべく原典を入手する努力を することです.論文によっては原典がすでに 入手困難になっているものもありますが,心がけとしては 原典を探す,ということを身につけてください.

参考文献の付け方は,

の大きく2つの流儀があります.私は個人的には後の流儀が 好きです.本文中に著者と年代の情報が得られます. 前者ですと,いちいち終わりの参考文献リストをめくらないと いけません.これらの形式の設定については,TeXのマニュアル 等を参考にしてください.

それと,最近,問題になっているのは,WWWで入手した 情報を参考文献にのせて良いか,という問題があります. これについては,学会でも意見の分かれるところです. WWWの情報は流動性が高く,ページが無くなっていたり, 内容が修正されていたりします. そうした問題がありますが,私自身は卒論,修論でしたら 載せても構わないと思っています.もちろん, WWWにのっている内容が学会誌等に掲載されている ものでしたら,そちらを優先して引用するべきです.